「社員の労働生産性が低い」は仕組みで解決できる

コラム マネジメント

公益財団法人日本生産性本部が労働生産性の国際比較2018を発表し、今年も日本が主要先進7カ国(G7)において時間あたり労働生産性が最下位であることが分かりました。G7とは米国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、イギリス、日本の7カ国です。

OECD加盟国36カ国の中では昨年同等20位です。日本は約38年間にわたって19位~20位をウロウロしています。

トップ3はアイルランド、ルクセンブルク、ノルウェーで、特にアイルランドとルクセンブルクの労働生産性は日本の倍だと報告されています。
参考:労働生産性国際比較2018

労働生産性が低いことは多くの経営者にとっての悩みの種です。

労働生産性が50%高まれば、理論上は同じ社員数で1.5倍の売上が達成できます。その分一人あたり売上の利益も高まります。多くの報酬を社員に還元することができますし、新しいサービスへの投資も潤沢に行なえます。お客様へのサポートも手厚くなれば、ロイヤリティが高まり、長くお付き合いしてくださるお客様も増えていきます。

一方で、社員だけでは労働生産性を高めるのは困難です。理由は2つあります。

1つは社員が生産性を高めるために十分な裁量権を持っていないことです。
もう1つは、生産性を高めても社員にメリットが少ない仕組みになっているからです。

一般的に、労働生産性を高めるために行われることは効率化と省力化、そして選択と集中です。30分かかる仕事を15分で終わるようにする。もしくは不要な業務をなくす。成果の高い仕事にフォーカスする。

では、それを判断できるのは誰でしょうか。最低でも事業の責任者、多くの場合は経営者になるでしょう。

社員が勝手に「この仕事は意味がないと思うので辞めます」と判断し始めたらどうなるでしょうか。経営者は「そうか」と判断を尊重することができるでしょうか。やっている業務に意味がありそうになくても、やらなければいけないのが社員なのです。

なんの結論が出ない会議であっても、参加するのが社員です。勝手に止めてしまったら「なんで勝手にやめたんだ」と叱責を食らう可能性があります。そこで社員が「意味がないからです」と答えたら、間違いなく大喧嘩になります。

さらに言えば、8時間で終わる仕事を6時間で終えることができたら、社員にどんなメリットがあるでしょうか。給与や評価にどんなプラスがなされるでしょうか。2時間早く帰宅することは許されるでしょうか。

経営者としては「もっと働いてほしい」と考えるのが自然です。しかし、社員としては効率化すればするほど仕事が増えるのです。それに見合ったものがなければ、「損をした」と考えるのが普通でしょう。

ではどうすればよいのか。

要は経営者と社員に納得感を持って効率化・省力化・選択と集中が進められる環境があればよいのです。

例えば、ネット広告代理店で国内トップのサイバーエージェントには「捨てる会議」という仕組みがあります。

効果のない施策、成果の出ない事業、必要のない会議を定期的に整理する場です。形骸化した業務を経営者も社員も納得の上で会社として整理される。そのおかげで、会社としては集中して行ってほしい業務に集中してもらうことが分かりますし、社員もどんな業務に集中すればよいのか分かります。

さらに、サイバーエージェントでは、新規事業に対しては厳しい基準があり一定期間内に一定以上の売上・利益が出せなければ「強制終了する」というルールもあります。

先日、弊社で開催したAI・RPAの講座でも「RPAを導入するために社内業務を整理するだけで、効率化は大幅に進む」と進藤氏がおっしゃっていました。

生産性の高い組織には生産性が高くなる仕組みがあります。とはいえ、その方法は千差万別、会社ごとに異なります。社員にとっても経営者にとっても良い形を探ることを考えてみてください。(弊社も探り中です)