過保護は会社と社員の未来を滅ぼす
社員を大切にする会社しているようで、大切にしていない会社。
それは、社員を過保護にする会社です。
高い給料に手厚い福利厚生、自由な働き方と自由に使える経費。社員が経営陣に言いたいことを言える。そしてそれが反映される。解雇もしない。給与も下げない。
非常に恵まれた会社のように見えます。そして社員には実際、恵まれた会社でしょう。
しかし、残念ながらそういった会社に未来はありません。
欠けているのは、厳しさ。
社員を過保護にし続けると、3歳の駄々っ子のように、「あれがないとできない」「これがないとモチベーションが上がらない」とどんどん甘えます。中には、「仕事してもしなくても解雇もされないし、給与も下がらない。だから遊んでしまえ」という方も出てきます。「面倒だからやらない」「やりたくないからやらない」と面と向かって話す社員も出てきます。
「文句を言えば社長がなんとかしてくれる。他の人が動いてくれる。」そんなモンスター社員を生み出すのが、社員を過保護にすることです。
すると真面目な社員に仕事がしわ寄せされ、経営者は社員を保護するために今まで以上に働かなければなりません。働かない社員が遊びながら安定した給料をもらい、真面目な社員が必死に働く組織。そんな環境で働くのがバカバカしくなり、次から次へと退職していきます。また働かない社員を養うために働き続けることで、経営者によっては「何のために働いているのか」と自問自答する方も少なくありません。
しかし、それは経営者自身が招いた種なのです。
社員が経営者ほど強い気持ちでいることは稀です。甘えることも多々あるでしょう。しかし、その甘えを許さないのが厳しさです。厳しい会社には強烈なカルチャーがあります。それは経営者の会社に対する想いから生まれたものです。
「こういう組織を作りたい!」「こんな社員にとっては最高の職場だ!」
その思いと現実の組織の間に一貫性が生まれ、それがいつしか強烈なカルチャーとなっていきます。強烈なカルチャーのある会社では、自然とその会社では「選別」が生まれます。ある人にとっては天国だけれど、ある人にとっては地獄に感じる環境となるのです。
例えば「誰にとっても居場所となる会社」を大切に考える経営者もあります。その中に、他人を蹴落とし、騙してでも上を目指すような人材がいたら、会社のカルチャーは崩壊します。そういったカルチャーに合わない社員にどう対応していくのかも経営者の考える仕事です。そこに当然厳しさが発生します。最悪なのは放置すること。カルチャーが守られなければ一貫性を保つことはできません。すると、モンスター社員が生まれ、真面目な社員から信頼を失います。
社員を大切にすることは、社員を甘やかすことではありません。お互いに納得のある評価基準を作り、評価していくこと。その中には厳しさも当然のごとく生まれます。
甘やかされた社員は、他の会社に行っても通用しません。実力以上の待遇を受けていたため、「こんなはずではない」と繰り返し、何度も転職を繰り返すことでしょう。それは社員の未来にとっても良くないことです。社員を本当の意味で守ることにはつながりません。
社員を過保護にしていないか。もう一度改めて考えてみても良いかもしれません。