当事者意識の足りない社員とどう向き合うか

コラム マインドセット マネジメント

ある経営者さんがこんなお話をされていました。

仕事を進めるにあたって最も大切なことの一つに粘り強くやること。仕事とはそもそも困難を伴うこと。誰にでも簡単にできることであったら、それは仕事ではなく、作業だ。そのために必要なのが当事者意識。「会社に言われたからやる」のではなく、「自分の仕事だ」という意識を持って取り組むことが大切

もしかしたら同じように考えている経営者の方も多いのではないでしょうか。

しかし、残念ながら経営者が考えていても社員はそうは動いてくれないもの。言われたことはやってくれるが、それ以上のことはやらない。「なんでやらないんだ」と聞いても「言われなかったので・・」と平気な顔で答えた社員を見て、がっかりするのは日常茶飯事です。

では、どうやったら当事者意識を持って仕事をしてくれるのでしょうか。当事者意識をもたせるためには、3つのことを行う必要があります。

1. 仕事の意味を伝える

ある会社では、仕事をやる意義を伝えることで、当事者意識をもたせることに成功しました。

  • なぜこの事業を行うのか。
  • この事業を行うことで、お客様が、社会がどう変わるのか。
  • そのためにどんな仕事を行う必要があるのか。
  • xxさん(社員)の役割は何で、どんな責任を果たしてほしいのか。
  • お願いした仕事は完璧な方法ではない。もっと良い方法があるなら教えてほしい。

繰り返し繰り返し伝えることで、社員はその意義を理解し、少しずつ提案するようになりました。そして、最終的には自ら企画・実践し、大きな成果を出すことに喜びを覚えるようになったのです

2. 心理的安全性を作る

社員を評価でコントロールしようとする人がいます。「これをやらなかったら評価が下がる。給与も下がるよ。だからやれ」といった、ある意味脅しでやらせる方法です。

特に「成果でのみ評価する」としているような企業は注意が必要です。成果を出すためなら何でもやる社員が必ず出てきます。それだけではなく、イノベーションが失われやすいのです。

考えてみてください。イノベーションとは、成果が出るかどうかもわからない新しい取り組みです。ユニクロの柳井社長が1勝9敗と語られるように、ほとんどのイノベーションや新しい取り組みは失敗に終わります。

成果が出れば評価が下がる状況で、誰が新しい取り組みをやろうと考えるでしょうか。

特に新規事業なんて誰もやりがたりません。「責任を持って取り組め!」と言われても、「任されて嬉しい」より「絶対イヤだ!なんでこんな目に!」と考える社員の方が圧倒的に多く感じます。

ですので、挑戦に対する心理的安全性をきちんと作る必要があります。例えば新規事業の仕事を任せるとき、ある経営者はこんなことを話していました。

「新規事業だから、失敗して良い。ただし、何が失敗だったか毎月きちんと振り返り、レポートすること。そして、2年以内に結果を出すこと。それまでは何度失敗しても構わないが、1年以内に単月黒字、2年以内に累積黒字が出なかったら、責任者を交代する、もしくは事業を撤退する。失敗したことに対して評価は下げない。しかし、取り組まなかったら評価を下げる。一方で予算にも限度がある。だから、予算内で最善の手を打つこと。

責任者が交代してうまくいっても自分の実力不足だと考えないこと。向き不向きがある。事業撤退したとしても気にしないこと。タイミングの問題やお客様のニーズを読みきれていなかった可能性もある。私たちはxxさんならできると思って任せている。成功する最も可能性が高いのがxxさんだ。だから全力を尽くしてほしい

これは新規事業に限らず、新しい挑戦をさせる際には必ず心理的安全性を作ることが大切です。ポジティブに考えるよりもネガティブな社員の方が多いことを忘れないでください。

3.コミュニケーションを取って、問題点を吐き出させる

「何か困っていることはないか。何かあったら力になるからな」の一言を毎週言い続けた経営者がいました。そして実際に責任者が問題点を伝えると、問題点を整理した上で、どうする方法がよいのか一緒に考える時間を取ることで、当事者意識をもたせました。

答えを教えずに一緒に考えさせて、最後は担当者に決定させたことで、うまくいったときは担当者も大きな達成感を得ることができたのです。当事者意識をもたせることは、管理職や責任者を育て、より多くの成果を得るためにも非常に大切なことです。ただし、当事者意識が芽生える仕組みがなければ、社員は当事者意識を持つことができません。

上記と同じことを伝えれば社員が当事者意識を持つ、というわけではありません。その方法は会社ごと、社員ごとに様々あると思います。ぜひ考えてみてください。